ある研究者グループの調査によると、上司として持つべき必要な能力には、以下のような点が指摘されています。
部会に対して、昇進・昇給・やりがいのある仕事を与える力がある。
部下が抵抗したときには、事実を冷静に受け止め、周囲と協力しながら対処できる力がある。
命令や支持を的確に出す力がある。
仕事に関して部下よりも優れている知識や技能がある。
人間的魅力すなわち、「上司のようになりたい」と思われる力がる。
部下を持つ皆さんは、これらの項目をご覧になってどのように感じられたでしょうか。
もちろん、上司も同じ人間である以上、これらを完璧に備えた人物はそうはいないでしょう。
むしろ、上司としての経験が浅く、初めて部下や新人を育成する立場ともなれば、どれもがプレッシャーに感じてしまっても不思議ではないくらいです。
そのため、心理学という学問では、同じ「上司」というポジションであっても、経験や階級、規模の違いなどを考慮し、それぞれに求められる力を段階的に区分しています。
今回は「初めての部下育成」という点に着目し、その立場に必要とされるポイントを解説しいていきます。
Contents
「ヒューマン・スキル」と「テクニカル・スキル」
心理学の世界ではズバリ、初めて上司となる人に求められる能力は、「ヒューマン・スキル」と「テクニカル・スキル」の2点であると考えられています。
(1)「ヒューマン・スキル」とは何か?
リーダーシップを発揮し、集団の団結力を高めていく。つまり、チームワークを盛り立てていく力といえます。
(2)「テクニカル・スキル」とは何か?
担当する仕事に関する、ひと通りの具体的な知識や技術、経験と言えます。
つまり、上司がこれまで会社や社会で積み上げてきた経験そのものとも言い換えることができます。
この2点をご覧になった方は、「なんだ、当たり前のことじゃないか!」と思われる方も多いかも知れません。
しかし実は、この2点には隠された違いがあるのです!
「コーチング」と「ティーチング」の違い?
それは、「コーチング」と「ティーチング」を使い分けることを意味します。そもそも、この2つの言葉には、どのような違いがあるのでしょうか?
上の図をご覧ください。
「コーチング」とは、相手(部下)自らの「気づき」を促し、ともに同じ目標を達成しようとする働きかけを意味します。
その一方で、「ティーチング」とは、上司が部下に対して知識や経験を「教える・指導する」ことを意味します。
そして、「ヒューマン・スキル」とは「コーチング」力を養うことであり、「テクニカル・スキル」とは「ティーチング」力を養うことです。
※コーチングに関してもっと知りたい!と言う方は、こちらの記事なんかもお勧めしております(お読みいただきましたら、また戻ってきてください)
https://failfastcatalyst.com/coaching/47/
社会が「コーチング」を求めても、部下は「ティーチング」が得意!
上司‐部下という人間関係で見たとき、部下育成で多くの悩みを抱える上司の原因は、コーチング(ヒューマン・スキル力)の難しさにあると考えられています。
それはなぜでしょうか?
答えの1つには、部下の多くがそれまでの学生経験から「ティーチング」を受けることを得意としているのに対し、社会の多くでは「コーチング」によって育つことが多くあります。
したがって、結果的に上司が「コーチング」を用いても部下がそれに馴染めず、「上手くいかない」とされる点が指摘されています。
「コーチング」に「ティーチング」を取り入れる=「過去形で質問する」!
上記を踏まえ、初めての部下育成に効果的なポイントは何か?
それはズバリ!ちょっとした工夫(=過去形)を取り入れ、部下に「質問する」ことです。
コーチングの初歩は「質問する」ことですが、そのエッセンスを取り入れつつ、「ティーチング」の要素も十分に活かしていきます。1つだけ、具体例を見ていきましょう。
Q。会議の議事録を部下に指示し、締切日になっても仕上がっていないとき。
上司A:「どうして議事録が出来上がっていないの?」
→部下はまた、同じ失敗を繰り返す恐れが高くなります。
上司B:「議事録の中で、どのような部分が難しかったの?」
→部下は自ら、期日までに仕上がらなかった理由を考え、そのための改善策を上司も一緒に検討していくことができます。
※そして質問する力と同じくらい重要なのが聞く力ですね、このあたりまとめた記事もありますので、よろしければご覧ください(お読みいただきましたら、また戻ってきてください~)
https://failfastcatalyst.com/coaching/94/
まとめ
いかがでしたでしょうか?
上司も部下も人間である以上、やはりコミュニケーションは欠かせません。
しかし、年齢や経験、立場が違えば必然と互いに意思疎通の難しい場面も訪れてしまうでしょう。
そのようなときにはぜひ、上記のテクニックを活用してみて下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメントを残す